メキシコペソ暴落の理由は?今後の見通しや回復の可能性について考察してみる

メキシコペソホルダーの皆さん、何とか生き残っているでしょうか?

今朝(2020年3月9日)、市場オープンとともに金融市場は大荒れとなりました。

先週末のNYダウの下げから、多少の下落は覚悟していましたが、まさかここまでの暴落になるとは想定外でした。

まさにパニック売りとも言うべき惨状ですね。

メキシコペソ/円は史上最安値(4.87円)を軽く更新し、4.59円(みんなのFX)をマークしました。

記事の執筆時点では多少の戻りは見せているものの、今後の展開に頭を悩ませております。

2月中旬の6.0円越えから考えると、実に半月で1.5円近く急落してるんですね。

長期保有でコツコツ投資している方が多いと思いますので、ここまでの急激な変動に胃が痛い思いをされているとお察しします。

そこで、自身もメキシコペソホルダーとして、今回の暴落の理由や今後の見通しについてメキシコペソに的を絞って考察してみました。

今回の暴落がセリクラ(セリングクライマックス)でありますように。。。(泣)

なぜ暴落しているのか

まず、今後の見通しを考えるにあたって、今回の暴落を招いた要因を改めて考えていきたいと思います。

それぞれ密接に絡んでいますが、おおまかに分けて以下の3つが考えられます。


○新型コロナウィルスの感染拡大

言わずもがなですが、一番の原因はこいつにあります。

中国で出始めた当初~2月中旬頃までは、各国一様に「対岸の火事」という風潮で新型コロナの金融市場への影響は限定的でした。

ただ、各国が水際対策で失敗し、世界中に感染が拡大すると共に、徐々に先行きの不透明感から徐々に株や高金利通貨が売り込まれる展開となり、下落トレンドが始まりました。

当然、世界中が新型コロナの話題で持ちきりですから、投資家心理がリスクオフに向かうのは無理もない状況かと思います。

また、投資家心理の冷え込みだけでなく、実体経済への影響も大きく影を落としています。

現時点では、新型コロナ感染拡大後の経済状況について指標は発表されていないため確かなことは言えませんが、日本での状況から分かるように、社会全体として経済活動の縮小(景気減速)が明らかです。

これに伴って、世界経済がリセッション(後退)局面に突入する、といった専門家の声も聞かれます。

また、2月28日にはメキシコでも2人の感染者が確認されており、今後の感染拡大の有無によっては、更なる影響が懸念されます。

○原油価格の暴落

上記の新型コロナウィルスの感染拡大に絡み、社会全体として経済活動が縮小してくであろう懸念から、原油価格が下落傾向にあります。

産業用に用いられる原油以外にも、各国の入国制限などの措置により海外渡航者の数も激減しており、飛行機などの減便で燃料需要も減少しています。

また、季節的な側面から、原油に対する需要が減少する時期であることも重しになっています。

ご存知のように、メキシコは世界第11位の産油国ですから、原油価格の下落はダイレクトに悪影響が出てきます。

そういった状況において、暴落のきっかけとなったのが世界第1位の産油国であるサウジアラビアの「原油増産」報道です。

先週末には、将来的な景気減速に伴う原油需要の減少懸念から、OPECにて原油の減算が協議されていました。

協議自体はロシアの反対で頓挫してしまい、そのことも原油価格下落に拍車をかけることとなったのですが、更に追い打ちをかけたのがサウジアラビアの「原油増産」報道です。

今朝のこの報道で、WTI原油価格は30%という歴史的な下げ幅を記録し、1バレル30ドルを切る水準まで下落しました。(増産の理由については後述します。)

朝日新聞『大荒れの原油相場、一時30%安 サウジ増産報道が背景

○メキシコの景気停滞

昨年12月には、メキシコでロペス・オブラドール政権が誕生して1年が経ちました。

発足当初こそ支持率も高く広く国民に歓迎された政権でしたが、これまで成長を支えた前大統領主導の対外開放・民間重視の政策を否定し、既に開始されていた大型プロジェクト(空港建設など)を次々と中止したことで、景気が停滞(もしくは後退)していると言われています。

これまでの汚職に塗れた政治から脱却し、クリーンな政権を目指しての政策でしたが、結果としてメキシコの経済成長を抑えることになってしまっています。

また、上記の理由から民間企業による投資が控えられる傾向にある中で、本来ならば政府による公共投資などの刺激策が求められる場面ですが、政権は「無駄遣い削減」を掲げ緊縮策を継続していることも景気停滞の一因となっています。

対外情勢を見ても、トランプ米大統領によるメキシコ叩き(「北米自由貿易協定(NAFTA)の再検討」や米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)批准手続きの遅れ)など、見通しの暗さが目立ちます。

日本経済新聞『メキシコ左派政権1年、経済政策転換で景気後退に

回復の可能性は?

これまでメキシコペソを取り巻く環境を述べてきましたが、状況だけを客観的に見ると今後の見通しはなかなか厳しいものがあります。

ただ、メキシコペソホルダーとして、少しでも希望をもって保持したいですよね。

何も希望がないまま暴落したペソを持ち続けるのは相当な精神力が必要になると思います。

自分への気休めも込めて、以下に楽観的な展望を示します。

○新型コロナ

世界的な景気後退懸念の元凶である新型コロナウィルスに関してですが、これについては、一刻も早く感染拡大が収まることか特効薬が開発されることを待つしかないと思います。

既に、大元となった中国での感染者増加は落ち着いてきていますので、各国とも時間とともに感染拡大のスピードは落ち着いていくのではないでしょうか。 

時間の経過とともに気温や湿度など周辺環境も変化しますので、その変化でウィルスの活動が弱まる可能性について言及している専門家もいます。

また、特効薬さえ開発されてしまえば、インフルエンザと同等の扱いになっていくと予想されますので、経済への影響は限りなく低くなっていきます。

○原油価格

これまでサウジアラビアとロシアが主導してOPECの減産体制を維持してきましたが、ロシアの今回の減算協議反対から、これまでロシアの減算姿勢に対して不満を募らせていたサウジアラビアが我慢の限界を迎えた結果、増産に踏み切ったようです。

サウジアラビアの今後の方針としては、減算体制からの原油価格維持ではなく、自由競争によるシェアの拡大、に転換していくとのことです。

これを受けて原油価格が暴落したわけですが、サウジアラビアが増産方針に舵を切ったとしても、すぐに増産に踏み切ることはないと考えられます。

というのも、実需がダブついている状況はサウジアラビアも十分理解していますから、OPECが協調しての減産体制の終焉さえ宣言できれば、サウジアラビアの目的は達成されているのではないでしょうか?

あとは世界一位の産油国であるサウジアラビアが、原油の在庫状況や原油価格の推移をフォローしながら自由に供給量を調整できるということですからね。

ただでさえ暴落しているところに、実際に供給量を増してシェアを拡大させたとしても、サウジアラビアにうまみはありません。

今後、原油価格が継続的に上昇していく流れにはならないとは思いますが、短期的には暴落前の価格と現在の価格の間を推移するのではないでしょうか。

○メキシコ国内情勢

あまり明るい話題がないメキシコ情勢ですが、昨年末のロペス・オブラドール大統領の会見で、「想定していた成長が遂げられていない」ことを認めています。

また、NAFTAに代わるUSMCAの批准手続きを関係諸国に対し強く要請し続けていたり、約4兆8千億円もの民活型インフラ計画を発表しており、政権発足時に比較してかなり民間企業寄りの柔軟な方針へ転換してきています。

また、メキシコ国内のエネルギー部門に対し、国内外の民間企業による920億円規模の投資計画が持ち上げっていることも明るい話題です。

これまで、海外からの資金流入が著しく減少していた中でのこの話は、低迷するメキシコ経済再建の起爆剤になる可能性があります。

いかがだったでしょうか?

想像以上に厳しい情勢ですが、今後の状況も引き続きとても不透明です。

ただ、歴史的な安値である、とうことは歴史的な買い時である、ということなのです。

また、散々書きましたが、メキシコペソが他の高金利通貨(南アフリカランド、トルコリラなど)に比べて、国力を背景に圧倒的に安定していることは事実です。

余力があればこの機会に買い増して、また、何があっても良いように証拠金維持率はきちんと管理して、今後の情勢を見守りましょう。

管理人は、上がらなくてもいいからせめて価格をキープしてくれ。。。と祈っています。。。