連日、新型コロナウィルスの感染拡大のニュースで溢れていますが、ついに政府も重たい腰を上げました。
大規模な人が集まるスポーツ・文化イベントに対し、中止または延期の措置を取ることを要請したのです。
政府の公式声明として、これまでの「自粛は求めない」という姿勢から大きく変わってきています。
遅きに失した感は否めませんが、初動の遅い政府が動き出したということは、それだけ感染の脅威が身近に迫っているということを意味します。
待ったなしの状況ですが、いま私たちに出来ることは、『まず自分(家族)が感染しないこと』です。これに尽きます。
マスク・うがい・手洗いなどの実施、不要不急の外出を避けることなど、既に実践されている方も多いと思いますが、それらを効果的に行うために『正しい知識』を身につけることも必要です。
今回の記事では、感染経路として注目されている『糞口感染』についてまとめていきたいと思います。
糞口感染(経口感染)とは?
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、書いて字のごとく排泄物に含まれる病原体が手などを介して口から感染する事を指します。
(経口感染の内、排泄物を介するものを特に糞口感染と呼びます。)
ウィルスの種類にもよりますが、感染した人・動物の排泄物には同じくウィルスが含まれていることがあります。
それが、何らかの形で他人の手に付着し、口を介して感染が拡大していきます。
(尿は基本的に無菌で排泄されるため、問題となるのは主に糞です。)
一般的なイメージとして、排泄物に触れる機会は限られるため、あまり重要視されない傾向がありますが、空気感染・飛沫感染・接触感染などに並び、感染経路として大きな割合を占めるものです。
糞口感染する代表的なウィルスとしてはノロウイルス、ロタウイルス、赤痢、コレラなどが挙げられます。
食中毒や嘔吐下痢症などは糞口感染での感染が多くみられる病気です。
今回の新型コロナウィルスについて、中国での感染拡大当初から糞口感染の可能性が指摘されていました。
感染力が強いこともありますが、感染拡大のスピードがあまりにも早いため、空気感染・接触感染以外の感染経路が疑われていたためです。
というのも、感染者の排泄物にウィルスが含まれるということは、それらが含まれる下水にもウィルスが含まれている、ということなのです。
以前、新型SARSが蔓延した際には、集合住宅の下水配管を介して、一人の感染者から集合住宅全体に感染が拡大した事実もあります。
特に新型コロナウィルスは、ウィルスとしての寿命がインフルエンザウィルスよりも長いことが分かっているため、こうした感染の可能性が高いと指摘されていたのです。
最新の研究として、中国科学院(Center for Biosafety Mega-Science)のWei Zhang氏らが新型コロナウィルス感染者の排泄物を検査したところ、ウィルスが検出されたこと2020年2月17日にEmerging Microbes & Intections誌電子版へ発表しています。
(詳細はEmerging Microbes & Intections誌のホームページをご確認下さい。)
公衆トイレは危険?
糞口感染を考えたとき、直接的に感染の可能性のある場所として『公衆トイレ』が挙げられます。
駅や公園、ショッピングモール、コンビニなど、ありとあらゆる所に設置されており、利用する機会も多いかと思います。
自宅のトイレとは違い、不特定多数の人が利用する目的で設置されているため、誰がどのように使用しているか分からず、新型コロナウィルスに限らず利用する際には注意が必要です。
直接的に排泄物が表に出る場所ですから、目に見えなくとも、便器やその周辺、手すり、ドアノブ(鍵)、手洗い場周辺など、ウィルスが付着している可能性は大いに考えられます。
こういった糞口感染を防ぐためにも、個人で出来る対策として、
・可能な限り公衆トイレを使用しない
・やむを得ず使用する場合は出来る限りトイレ内の設備に触れない
・便座に座る際は、除菌シートなどでよく拭く
・トイレを出た後で改めて手洗いを行う
などが挙げられます。
ハンドドライヤーは注意
やむを得ず公衆トイレを利用した際に注意しなければいけない点として、ハンドドライヤーも挙げられます。
手洗いをした後に手を乾かすために利用するものですが、ここでも感染が起こる可能性があります。
基本的に、用を足した後、手洗いをしてから利用するハンドドライヤーですが、手洗いが不十分だった場合、ウィルスを含んだ水が溜まってしまっている可能性があるためです。
また、感染者が手洗い不十分なまま使用すると、送風によってウィルスを周囲へ拡散してしまう可能性もあります。
もちろん、大多数の利用者は十分な手洗いを実施しているかとは思いますが、不特定多数が利用する以上、ない、とは言い切れません。
利用を控えるに越したことはないですが、やむを得ず利用する際には、こういった可能性にも留意して(持参のハンドタオルを使うなど)利用するように心掛けてください。
自身への感染を防ぐためのみならず、周囲への感染を拡げないためにも、こういった意識を高く持って生活することをおススメします。
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