新型コロナ対策で紫外線(UV)消毒は有効?太陽光でも効果あり

週が明け、一部の地域を除き全国的に全校休校が始まりました。

週末のニュースを見ている限りは、社会全体が自粛ムードとなっており、率先して外出している人の割合は少なそうです。

ここ数日で『巣ごもり』というキーワードを頻繁に目にするようになりましたし、外出を控えるために備蓄を準備する方が増えている、というニュースも見かけました。(デマの影響もありますが。。。)

本当に、このまま落ち着いて収束方向に向かってくれ、と願わずにはいられませんが、こればかりは現時点では何とも言えません。

このような状況ですから、今後も不要不急の外出は控える傾向が続くのではないでしょうか。

しかし、そんな状況の中、引き続き問題となっているのが『アルコール消毒液の品薄』です。

いわば最後の砦である自宅へのウィルスの侵入を防ぐために必要不可欠なアイテムですが、店頭では入荷と同時に即完売、ネット上では高額転売されている有様です。

背に腹は代えられないと、高額でも購入してしまう人もいますが、個人的にはあまり気が進みません。

そんな経緯から新型コロナウィルス対策として『アルコール消毒液』に代わる方法を考えてみました。

新型コロナウィルスの構造について

まず、新型コロナウィルスの『消毒』を考えるにあたって、なぜアルコールでウィルスが消毒できるのかをみていきましょう。

ウィルスには、エンベロープ(封筒)と呼ばれる膜を持つもの(エンベロープウィルス)と、持たないもの(ノンエンベロープウィルス)の2種類があります。

このエンベロープウィルスには、代表的なものとしてインフルエンザウィルスやエイズウィルスが挙げられますが、『新型コロナウィルス』もエンベロープウィルスに属します。

そして、エンベロープウィルスの特徴として、アルコール消毒によって感染力を失う(不活化)ことが分かってるのです。
(アルコール成分がエンベロープを破壊し、ウェルスの持つ感染力を失わせる。)

以上から、新型コロナウィルスにもアルコール消毒は有効だとされており、実証実験でも確認されています。

また、同じような理由で『次亜塩素酸ナトリウム』も有効だとされています。

(詳細は国立感染症研究所のホームページ「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」をご覧ください。)

以上から、アルコール消毒が新型コロナウィルスに対して有効であるということが分かりました。

では、他にウィルスを不活性化する方法はないのでしょうか?

今回の記事のタイトルからお分かりかと思いますが、それが『紫外線(UV)消毒』なのです。

紫外線(UV)消毒は有効か?

先ほど、新型コロナウィルスは『エンベロープウィルス』であるとお伝えしましたが、ウィルス学の観点からもう少し正確に分類すると『プラス鎖一本鎖のRNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルス』となります。

簡単に言うと、「新型コロナウィルスは『RNAウィルス』と「エンベロープウィルス」のそれぞれの特徴を有したウィルス」ということが言えます。

(詳しくは日本ウィルス学会のホームページをご覧ください。)

これだけでは「だから何?」となりそうですが、実はこの『RNAウィルス』には紫外線にとても弱い、という特徴があるのです。

このお陰で光がある空気中でウィルスは長い時間とどまっていることが出来ません。

これまでの研究でRNAウィルスが不活性化する条件として以下のことが分かっています。

・ 皮膚の表面等の”不活性化しやすい”環境(※) : 5分未満
・ “不活性化しにくい”環境(※) : 約15分間
・ 最適環境下(実験環境) : 最長で1~2日間

※ 『RNase』が存在すれば不活性化しやすく、存在しなければ不活性化しにくい環境になります。
『RNase』はあらゆる生物に存在する酵素で、免疫システムの一つです。

光のある空気中ではおよそ15分間感染力を維持することが分かっていますが、この時間は紫外線の量が多ければ短くなり、少なければ長くなります。

現時点で新型コロナウィルスに対しての実証実験の研究結果は得られていませんが、旧型コロナウィルスに対しては以下の論文でその有効性が実証されています。

コロナウイルスおよびパルボウイルスに対する物理・化学的処置の殺ウイルス効果の検討
(Virucidal Efficacy of Physico-chemical Treatments Against Coronaviruses and Parvoviruses of Laboratory Animals)

この研究では、15分程度の紫外線照射でウィルスの不活性化が認められたということです。

そしてこの結果は、新型コロナウィルスに対しても有効である可能性が高いものと思われます。

紫外線(UV)消毒の具体的な方法は?

では紫外線(UV)消毒とは具体的にどのように行っていけばいいのでしょうか?

まず、紫外線と聞いて真っ先に思いつくのは太陽光かと思います。

実は太陽光には強い殺菌力を持っていることは古くから知られていました。

この殺菌力を発揮しているのが、太陽光含まれる紫外線なのです。

身近なところで言うと布団の天日干しなどが挙げられます。

・FCG総合研究所「天日干しの殺菌効果

一方で、紫外線を利用した殺菌(消毒)のためのグッズとして、『殺菌灯』というものがあります。

基本的に紫外線はウィルスに対しての消毒効果を持ちますが、紫外線の中でも色々と種類があります。

これまでの研究で光の波長で言うと『260nm付近』のものが最も殺菌・消毒効果が強いということが分かっています。

これは、太陽光に含まれる紫外線(350nm付近)の約1600倍に達するということです。

そのため、現在市販されている殺菌灯からは253.7nmの波長の紫外線が出るように設計されているのです。

この『殺菌灯』は様々な形態で販売されており、赤ちゃんのおもちゃ用や食器用、おしぼり用にスチーム機能が付いたものもあります。

興味があればウェブで検索してみてください。

どう生活の中に取り入れていくか

ここまでの記事で新型コロナウィルスに対する紫外線消毒の有効性について説明してきましたが、実際どのように日常生活に取り入れていくかが問題だと思います。

消毒方法としてかなり実用的なことは分かったのですが、実際、自分の生活を振り返ったとき、どんなものに使えるか考えてみると、案外使える用途が少ないんですね。。。

新型コロナウィルスは経口感染が指摘されていますので、小物用の殺菌灯などは主に口に入る可能性のあるもの(食器類、子供のおもちゃなど)については使用できるかと思います。

ただ、よくよく考えれば、それくらいなら「洗えば済む」んじゃないかということに気づいてしまいました。。。

また、強い紫外線を使用するため、手など素肌には使用できないんですね。

強いて挙げるとすれば、マスクの消毒でしょうか。マスクが入手しにくい状況ですので、使い捨てマスクを消毒して出来るだけ長く使えるようにする、というのは手かもしれません。

また、調べていて思ったことが、冒頭でも触れた『巣ごもり』現象についてです。

人との接触を出来るだけ避けるために自宅から出ない、という選択ですが、個人的にはこれはあまり好ましくありません。

家の中にずっと籠っていては、逆に体が鈍っていって免疫が下がっていくように思いますし、気分も上がりません。そして何より飽きます。。。

今回、紫外線について調べたことで、太陽光にもウィルスの消毒作用があることが分かりました。

つまり、日中、太陽の光を浴びて外で遊ぶことは比較的安全だと考えられます。

(もちろん、屋外でも人が大勢いるようなテーマパークなどは別です。)

運動をすることは、免疫力の向上や気分のリフレッシュに繋がりますので、休日の過ごし方として一つの選択肢に加えられるのではないでしょうか。

【4月24日追記】

新型コロナウイルスが太陽光で急速に不活性化することが明らかに

4月23日、アメリカで『新型コロナウイルスが太陽光によって急速に不活性化する』という最新の研究結果発表されました。

国立生物兵器分析対策センター(NBACC)で実施されました

発表は、国土安全保障省長官 ウィリアム・ブライアン(William Bryan)氏がホワイトハウスで行ったもので、極めて信憑性が高い情報だと考えられます。

発表の中で、『太陽光には”物質の表面”と”空気中の物質”に存在するウイルスを不活性化する作用がある。』と明らかにされました。

また、『温度や湿度にも太陽光と同様の作用が確認できた。温度もしくは湿度、或いはその両方の上昇は一般的にウイルスにとって好ましくない。』と言及しています。

研究結果によると、新型コロナウイルスの半減期(量が半分にまで減る時間)は、「気温:21~24度、湿度:20%」の無孔質(金属など)の表面で「18時間」でした。

一方で、湿度が80%に上昇するとウイルス半減期は「6時間」に減少し、更に太陽光が加わると「2分」にまで減少することが分かりました。

また、空気中に漂うエアロゾル状のウイルスの場合、半減期は「温度:21~24度/湿度:20%」で1時間だったのに対し、太陽光が加わると「1分半」にまで減少することが分かりました。

今回の研究結果から、天気が良い日に外で太陽光を浴びて過ごすことは、かなり効果的であると考えられます。

ただし、今回の研究結果は、あくまで半減期であって、ウイルスの消滅ではありません。

太陽光環境下でも少なからず残存している可能性はありますし、人が集まれば飛沫感染の恐れもありますので、人と人の距離(ソーシャルディスタンス)を保つことは必ず必要です。

(他にも新型コロナウィルス関連の記事を書いています。お時間があればご一読ください。)

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