新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収まりませんが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
世間は3連休ということで、普段であれば喜ばしいのですが、状況が状況なだけにどこに行こうか悩みますよね。
出来るだけ人が集まるところは避けたいです。
そんな中、19日には大阪府知事が「大阪-兵庫間の往来の自粛」を要請しました。
異例の要請ですが、「爆発的な感染拡大がいつ起きてもおかしくない」状況であることを訴えています。
連日の報道でマヒしてきている気はしますが、新型コロナウイルスは依然として感染拡大期にあります。
今後も拡大していく可能性がとても高い以上、個人としても万全の対策を取っていきたいですよね。
さて、昨年11月あたりに発見されて、4ヵ月ほどで世界中へ爆発的に拡がっている新型コロナウィルスですが、人間サイドも負けてばかりではいられません。
ワクチンなどの開発も含めて、世界中の関連機関が日々研究に研究を重ねています。
徐々にウイルスの構造や感染経路などが明らかになり、それに応じて消毒方法や予防策についても確立されつつあります。
そんな中、日本の研究者によって、ウイルスが体内に入ってからどのような過程を経て発症し、治癒していくかについての論文を発表しました。
『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察』
ウィルスへの感染過程
新型コロナウイルス(COVID-19)への感染経路として、従来のヒト呼吸器コロナウイルスの感染経路(物を介する感染)やインフルエンザ(飛沫感染)が考えられます。
ヒト呼吸器コロナウイルスの潜伏期間は3日と言われており、症状として鼻水が多く出ることが挙げられます。
そのため、くしゃみや咳での感染というよりも、ティッシュで鼻をかむ際に手などにウイルスが付着し、そこからドアノブなどを介して他人へ感染が拡がっていく、という特徴があります。
物体の表面におけるウイルスの残存期間は、最近米国の研究で明らかにされており、ウイルスの残存期間が最も長かったのは『プラスチック』や『ステンレス鋼』の表面で、なんと「3日間」も留まっていたそうです。
物体を介する感染を防ぐためには、「顔に手をもっていかない」「手の消毒や手洗い」が重要とされています。
インフルエンザと同様の飛沫感染については、くしゃみや咳などのの飛沫だけではなく、呼気中に87%の割合で含まれる「1㎛以下のエアロゾル」が感染の大元であると考えられています。
尚、インフルエンザウイルスは、感染して6時間で増殖を終えて約10^8/mLに増殖します。
これに比べて、新型コロナウイルスと類似のSARSコロナウイルスは、6時間で約10^5~6/mLに増殖します。
数字上だと分かりにくいですが、これはつまり、コロナウィルスの増殖速度はインフルエンザの約100分の1程度と推測できるのです。
この結果から、コロナウイルスの感染能力はインフルエンザよりも高くないと考えられます。
では、なぜここまで爆発的に感染が拡がっているのでしょうか?
これは、新型コロナウイルスに対する人間の免疫(耐性)が低いからだと推測できます。
そのため、今後、インフルエンザウイルスのように日常的に体内に取り込まれる環境になっていることで、人間の体内でも免疫が出来上がれば、そこまで恐れることのない疫病になっていく可能性が高いと考えられます。
ウイルスへの免疫耐性、再感染について
人間に対するウイルス感染の実験によって、「感染後にどのくらいの期間で発症するか?」「どのくらいの期間ウイルスの排出が続くか?」「再感染する可能性があるのはいつか?」が明らかになってきています。
インフルエンザの場合は、早ければ感染後18時間程度で発症し、その後2日間で体内でのウイルスの増殖はピークを迎えます。
症状として、発熱、頭痛、倦怠感などを伴いますが、これらは上気道症状より早く回復していきます。
尚、個人ごとの抗体保有状況により、最大で34.9%が発症すると言われています。
(新型コロナウイルスについては、この抗体を持つ人が極端に少ないため、感染に拍車がかかっていると考えられます。)
インフルエンザ発症後、ウイルスの排出は約1週間ほど続きます。
一方で、従来の鼻風邪などに代表されるコロナウイルスとライノウイルスなどは、感染してから3日後に発症し、ライノウイルスは3週間、コロナウイルス感染動物では約1カ月程度ウイルスが検出されることが確認されています。
感染の有無を確認するために、PCR法が広く採用されていますが、PCR法においてウイルス感染の回復期には陰性と陽性を繰り返しながら、徐々にウイルス量が減少していくことが分かっています。
また、新型コロナウィルス含め粘膜感染によるウイルス感染症は、ウイルスに感染した際に体内で作られる抗体抗体が作られ、それが免疫として機能します。
そして、一度作られた抗体の消失までに約6ヵ月を要することが分かっています。
この抗体の存在によって、約3ヵ月は再感染の可能性は低く、6ヵ月程度では感染しても発症しない状態になると考えられています。
このところ、新型コロナウイルスに感染した患者が陰性化した後に1ヵ月以内に再度発症した、というニュース報道が多くされていますが、これは「ウイルス感染の回復期には陰性と陽性を繰り返す」という経過から全く不思議な現象ではありません。
抗体(免疫)の観点から、再感染の可能性は限りなく低いと考えらます。
感染の早期発見が重要
新型コロナウイルスに感染する可能性を考え、症状を早期に発見するためには、毎日同じ時刻に体温を測って自身の平熱を把握することが重要です。
4日以上持続する発熱は発熱性の疾患がかなり絞られてくるため、新型コロナウイルスの重要なサインとなります。
また、発熱後5~6日では、軽い運動(階段の上り下りなど)で酸素必要量が通常より多くなる場合に息切れを感じるようになります。
こういった症状から、肺の症状を早期に推測し、治療に繋げていくことが重症化を防ぐために重要です。
感染の確定には、PCR法やCT診断が用いられますが、CT診断の結果により、発症から期間が空けば空くほど肺の繊維化(通常時はガラス陰影)が進み、症状が重篤化する可能性が高いことが分かっています。
この「肺の繊維化」は非可逆的な変化(元に戻らない)の可能性があり、回復後の肺機能の低下も危険視されています。
もちろん、症状は個人差があるため、発症したとしても症状が進行しないようなケースも多々見受けられます。
ただ、そういった人の体内でもウイルスは増殖し体外に排出されますから、感染を拡大させないためにも、自身の体調をしっかりと管理して対策を取っていく必要があります。
国内でも治療後に再度『陽性』を確認
(2020/04/15追記)
国内でも、感染後に治療を経て陰性が確認されても、再度陽性となった例がニュースに挙がっています。
症例としては多くはないようですが、一旦収まったように見えても体内では少量ながらウイルスが残存している可能性が極まて高いです。
これまでに説明したように、こういった増減を繰り返しながらウイルスは死滅していきます。
このように再発の危険性がありますから、退院後、1~2週間は自宅待機で様子を見ることをお薦めします。
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