新型コロナウィルスの拡大が収まりません。
2月21日には、これまで比較的感染しにくいとされてきた子供への感染も認められ、社会的な不安は募るばかりです。
日本国内でも既にここまで広範に感染が拡大している以上、行政の対策だけでは不十分であり、私たち一人一人が正しい知識を基に出来る範囲の対策を講じていくことが必要です。
しかし、そんな状況の中、問題となっているのが『マスク・消毒液の品薄』です。
一人一人が対策を行わなければならないにも関わらず、そのための道具が店頭から姿を消しています。
国内/海外需要の急増が主な要因ですが、転売ヤーの買占めも大きな問題となっています。
この転売ヤー問題について、行政などによる早急な対策が求められますが、現実問題として品薄が続いている以上、イマ何が出来るのかを考えていく必要があります。
そんな中、新型コロナウィルスの対策グッズとして注目されつつあるのが『ウェットティッシュ』です。
確かに、手を拭いたり身の回りを清潔に保つ上でとても便利なグッズですし、アルコール成分を含む製品も多く販売されています。
果たして、ウェットティッシュがコロナウィルスに有効なのか?現時点での情報をまとめてみました。
新型コロナウィルス対策として効果が認められているもの
ウィルスには、エンベロープ(封筒)と呼ばれる膜を持つもの(エンベロープウィルス)と、持たないもの(ノンエンベロープウィルス)の2種類があります。
このエンベロープウィルスには、代表的なものとしてインフルエンザウィルスやエイズウィルスが挙げられますが、『新型コロナウィルス』もエンベロープウィルスに属します。
そして、エンベロープウィルスの特徴として、アルコール消毒によって感染力を失う(不活化)ことが分かってるのです。
(アルコール成分がエンベロープを破壊し、ウェルスの持つ感染力を失わせる。)
同じような理由で『次亜塩素酸ナトリウム』も有効だとされています。
また、これまでの研究で、人体への消毒を行う場合には消毒用アルコール(70%)、物の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効であることが分かっています。
(もちろん、手洗い、うがい、咳エチケットについて、それ自体でウイルスの不活化はできませんが、体内への侵入を防ぐ感染防止や拡散防止のために必要不可欠です。)
詳細は国立感染症研究所のホームページ「新型コロナウイルス(2019-nCoV)」をご覧ください。
ウェットティッシュは有効か?
先述の情報を基に『ウェットティッシュ』が新型コロナウィルスへの対策として有効かどうか見ていきましょう。
一般的にウェットティッシュと呼ばれる製品は、成分として以下のようなものを含んでいます。
・主成分としての水
・かびや細菌などの微生物の繁殖を抑える防腐剤
・手あれ防止のための「湿潤剤・保湿剤」
・油脂分を除去するためのアルコール・洗浄剤
これを見ればお分かりかと思いますが、基本的にウェットティッシュは湿らせて汚れを拭き取る目的に作られたものであり、見た目上キレイにはなってもウィルスに対する消毒効果はほとんどありません。
一部製品にアルコール成分を含んだものがありますが、これも含有割合としては低く、アルコール濃度は、20~40%が多いようです。
あくまで油分を受かせるための目的で、消毒効果は期待できません。
一方で、ウェットティッシュの中でも、『除菌』という言葉が書かれている製品もあります。
ではこういった『除菌ウェットティッシュ』には、新型コロナウィルスへの消毒効果があるのでしょうか?
まずは除菌ウェットティッシの種類についてみていきます。
似たようなパッケージのものも多いですが、パッケージをよく見るとどこかに必ず『除菌』のタイプが書かれています。
主な分類としては『アルコールタイプ』と『ノンアルコールタイプ』です。
『アルコールタイプ』はその名の通り、アルコール(エタノール)を主成分として含有しており、『ノンアルコールタイプ』では「ベンザルコニウムクロリド」や「セチルピリジニウムクロリド」などの殺菌作用を持つ成分が多く使用されています。
いずれも除菌効果を謳った製品ですが、『ノンアルコールタイプ』については先述の通り、現状では新型コロナウィルスへの対策として有効かどうか実証されていません。
そのため、現時点では本当に除菌できているのかは分かりません。
一方で『アルコールタイプ』についてですが、実は「99.9%の除菌効果」を謳っている高濃度のウェットティッシュでも含有成分をみると「50%未満」なのです。
これはペーパーを使っているという観点から、引火などに対しての危険性を配慮しているためです。
また、アルコールは揮発性を持ちますので、濃度が高くなるほど揮発性も高くなり乾きやすくなります。
そのため、使用する際にウェットティッシュとしての役割を果たすためにはアルコール濃度に限界があると考えられます。
つまり、『除菌』を謳っているアルコールタイプのウェットティッシュといえども、新型コロナウィルスへの消毒として有効とされる70%のアルコール濃度には届いていないのです。
しかし、効果がゼロか、と言えばそういう訳ではありません。
アルコール自体は含んでいますので、効果は薄まりはしますが、使用しないよりははるかに良いです。
ただ、それだけで万全に完全に消毒できているわけではありませんので、過信しないことが賢明です。
アルコール(エタノール)消毒液がどうしても手に入らない際の一時的な代替品としての使用をおススメします。
あなたが行っている対策は本当に有効なものでしょうか?
今一度振り返ってみて、正しい知識の基、有効な対策を選択出来るように心掛けてください。
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