記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれませんが、2020年5月8日、JR外房線の列車が千葉県鴨川市で脱線事故を起こしました。
幸いにも人的被害は大きくありませんでしたが、この事故に関して千葉県警は19日、近くに住む10歳の小学生男児を『危険往来』の疑いで児童相談所に書類送致したことわかりました。
本人は「実験で置いた」との供述をしているようですが、一歩間違えば大惨事だっただけに、子を持つ親としてはとても他人事とは思えない事件です。
置き石がどんな罪になるのか、脱線事故を引き起こしたことによる賠償金はいくらになるのか、などを調べました。
事故の概要
当時のニュースによると、列車が脱線した現場の約250メートル手前には列車が石を踏んだような跡があり、事故原因について置き石の可能性が指摘されていました。
また、事故現場付近では、4月にも2回ほど石を踏んだ痕跡が確認されていました。
置き石はカラスなどが行うこともあり、千葉県警は事件・事故の両面から捜査を進めていたということです。
テレ朝News『外房線脱線事故 線路に置き石の跡・・・犯人はカラス?』
危険往来とは?
今回、10歳男児は『危険往来』の疑いで書類送検されました。
置き石による列車の運行を妨害したことによる罪です。
刑法には以下のように定められています。
往来危険罪を犯したことにより、人の乗る汽車又は電車を転覆させ、又は破壊し、または人の乗る船舶を転覆させ、沈没させ、破壊する結果を生じさせた場合。 汽車転覆等罪と同様に、法定刑は無期懲役又は3年以上の有期懲役。 これらの行為により人を死に至らしめた場合は死刑又は無期懲役(第127条)。
– Wikipedia 「往来を妨害する罪」
法定刑を見て分かるように、罪としてはかなり重い部類に入ります。
賠償金はいくらになる?
現時点でのニュース報道では、実際の賠償金額は明らかにされていません。
ただ、過去にも同様の脱線事故が起きており、そこからある程度の予測は出来そうです。
記憶にある方もいるかもしれませんが、1980年に起きた『京阪電気鉄道置石脱線事故』では、当時中学生だった男子生徒5人が逮捕され、大きな話題となりました。
この事故では、人的被害(怪我人100名以上)や線路周辺への被害(民家が全壊)などし、被害総額は4億円以上に上りました。
5人に対する裁判は最高裁まで争われましたが、最終的には一人当たり840万円の支払いで和解したそうです。
今回の事故では、『京阪電気鉄道置石脱線事故』ほどの被害はありませんでしたが、脱線したことによるダイヤの乱れなどは当時に比べ大きく、全体の被害総額としては大きく変わらないものと思われます。
過去の事例から、実際に裁判で支払いが命じられる金額は、全体の損害の10分の1程度となるようです。
ただ、書類送検された人数が一人ということもあり、損害の大部分を保険で賄うにしても、数千万円に上る損害賠償が請求されることになるのでしないでしょうか?
興味本位から起こしてしまった今回の事故ですが、一歩間違えれば多くの人が命を落とす結果になってしまっていたかもしれません。
子供のしたこと、ではありますが、このようなことが起こってしまったことを、重く受け止めていく必要があるように思います。
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