新型コロナウィルスは湿度に弱い?梅雨には収束?

日々感染が拡大していく新型コロナウィルス。

初めこそ対岸の火事、という感覚でしたが、今や日本も感染者数で上位に入り、他国では日本人の渡航制限が掛けられるほどです。

一部で4月までには終息、といった声も聞かれますが、個人的にはあまりにも楽観的な見方であると感じます。

確かに中国の一部地域では感染者数の増加が鈍化してきているようですが、問題なのは何故ここまで感染力が強いのか分かっていない、ということなのです。

分からない以上、これまでの常識に基づいた対策しか打てず、有効な対処が出来ていない状況です。

また、中国の後は日本や韓国、そして現在は欧州でも感染拡大が進んでいます。

果たして新型コロナウィルスの猛威はいつ収まるのか?

誰しもが考えるこの問題について、現時点で得られた情報をまとめてみました。

ウィルスだから湿度に弱い?

まず、現時点で新型コロナウィルスと湿度についての関係は実証されていません。

ただ、新型コロナウィルスのウィルス学の分類として『プラス鎖一本鎖のRNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルス』とされています。

(詳しくは日本ウィルス学会のホームページをご覧ください。)

つまり大きな分類として、インフルエンザなどのRNAウィルスと似通った性質を持つ、と考えられています。

ここでは、その根拠に基づきインフルエンザウィルスと湿度の関係をまとまていきます。

一般的にインフルエンザウィルスは湿度に弱いと考えられています。

現に、

「インフルエンザウィルスは湿気に弱く、湿度50%以上で90%以上が死滅する」

「インフルエンザウィルスは低温を好み、 10℃前後で最も活発に増殖する」

というようなことが書かれているサイトも散見されます。

冬に流行するためこのように考えられていますが、残念ながらこの概念は誤解を多く含んでいます。

確かに、気温が下がり感想する冬の時期に流行はしますが、実はインフルエンザの感染者は一年を通して出ているのです。

また、冬でも比較的湿度が高く温かい沖縄地方でもインフルエンザは流行します。

つまり、インフルエンザウィルス自体は湿度に弱いということはないのです。

厚生労働省の『インフルエンザQ&A』では以下のように書かれています。

3) 適度な湿度の保持

空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

人間には喉の粘膜などの免疫機能が備わっていて、それらがウィルスなどの有害因子の身体への侵入を防いでいます。

冬になると、ウィルスではなく人間の方が弱くなるため相対的にウィルスが強くなってしまうんですね。

また、湿度自体によってウィルスが不活性化することはありませんが、その要因にはなりえます。

ウィルスが感染する経路として「空気感染/飛沫感染/エアロゾル感染」などが主に挙げられますが、これらは空気中を介して人から人に感染します。

このとき、空気中の湿度が高いと、ウィルスが空気中の水分に吸着し重くなることで動きが鈍くなり、移動できる範囲が狭まります。

こういう意味で感染拡大を防ぐために、高い湿度を一定に保つことは有効だと考えられます。

また、インフルエンザウィルスなどのRNAウィルスは『日光や消毒薬そしてRNaseに非常に弱い』ということが分かっています。

まず、『消毒薬(エタノール)』については、別記事『新型コロナ対策!ウェットティッシュは有効か?』で詳しく触れています。

また、『RNase』はあらゆる生物に存在する酵素で、免疫システムの一つです。

最後に『日光』ですが、RNAウィルスは日光(紫外線)にとても弱く、このお陰で空気中で長い時間とどまっていることが出来ません。

これまでの研究でRNAウィルスが不活性化する条件として以下のことが分かっています。

・ 皮膚の表面等の”不活性化しやすい”環境(※) : 5分未満
・ “不活性化しにくい”環境(※) : 約15分間
・ 最適環境下(実験環境) : 最長で1~2日間

※ 『RNase』が存在すれば不活性化しやすく、存在しなければ不活性化しにくい環境になります。

空気中ではおよそ15分間感染力を維持することが分かっていますが、この時間は紫外線の量が多ければ短くなり、少なければ長くなります。

つまり、冬になると、空気中の水分が少なくなりインフルエンザウィルスが移動できる範囲が拡がる上に、紫外線が弱いため感染力を維持する時間が相対的に長くなるのです。

新型コロナウィルスは梅雨の時期を越えられるか?

一部で4月までには収束、といった声も聞かれる根拠として、気温・湿度が上がってくることが一つの要因として挙げられています。

確かに、先述したRNAウィルスの特性を踏まえると、湿度が上がることでウィルスの活動が弱まる可能性も考えられます。

ただ、新型コロナウィルスの特性として、同じRNAウィルスであるインフルエンザウィルスなどに比べ、感染力が圧倒的に強い点が挙げられます。

現に、2/26時点で40ヵ国もの国々で感染が確認されているのです。

そしてこれは現在冬を迎えている北半球だけではなく、赤道上の国や南半球の国も含まれています。

つまり、新型コロナウィルスが様々な環境下で感染力を維持しているのです。

そしてその理由は現時点では分かっていません。

これまで感染が確認されている国の中には、日本の梅雨に近い環境である国もあります。

そのため、新型コロナウィルスが気温・湿度の上昇で収束していくとは考えにくいところがあります。

長くなりましたが、結論として、現在の状況を客観的に見る限り、梅雨時期までに収束する可能性は低いのではないかと思われます。

そのうち収まるだろうという楽観的に考えるより、一人一人が確実に今できる対策を積極的に考えていく必要があるのではないでしょうか。

(4/14更新)

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