新型コロナウイルスの感染拡大が続いていますが、現在、感染者数世界一のアメリカから恐ろしいニュースが入ってきました。
アメリカ東部ニュージャージー州の介護施設で17人の遺体が見つかったという事件です。
大型の介護施設で起こった今回の死体遺棄事件ですが、地元当局によると、4月13日に匿名の通報があり、警察が駆け付けたところ、施設内の仮設の安置所に遺体が山積みにされていたそうです。
地元メディアの報道によると、この施設では入所者以外に職員の新型コロナの感染が確認されており、深刻な人手不足が起きていたとされています。
このニュースから、世間で叫ばれている新型コロナによる『医療崩壊』に次いで、『介護崩壊』も迫っている、という指摘がされています。
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新型コロナによる『介護崩壊』とは
後ほど触れますが、新型コロナの症状は高齢者ほど重い、とされています。
そのため、高齢者をケアする介護施設では、高齢者の感染を防ぐために医療施設と同等の対策が求められています。
そういった状況にもかかわらず、救援物資は医療施設に優先して供給されるため、十分な物資がない中での介護を強いられています。
また、元々、慢性的な人手不足で悩まされてきた分野ですから(こちらも後ほど触れます)、こういった状況での介護で職員の負担が著しく増大しています。
その結果、心身ともに疲弊して離職を選択する人も増えているようです。
更にそのような状況で、入所者もしくは職員の新型コロナウイルスの感染が認められた場合、介護の手が完全に回らなくなり、必要最低限のケアさえも出来なくなる『介護崩壊』が起こってしまうのです。
こうなると『医療崩壊』同じく、連鎖的に死者が急増していく可能性が高まります。
アメリカの報道では、新型コロナによる全米の死者およそ3万人のうち6千人弱が介護施設の入居者である、と報じられています。
年齢からみた新型コロナの死亡割合
先述のように、これまでの統計から、新型コロナの症状は高齢者ほど重い、とされています。
どういった病気でも同様ですが、年齢が上がれば上がるほど身体の基礎力は衰え、免疫や体力が低下していきます。
また、何かしらの基礎疾患を持つ人の割合も増えていきます。
新型コロナによる年齢別の入院(重症化)率、死亡率について、医学誌「ランセット感染症ジャーナル」掲載の論文で発表されています。
上のグラフでは肌色が入院率、とオレンジ色が致死率を示しています。
また、下のグラフでは、青が発症からの回復まで、赤が発症から死亡までの平均日数を示しています。
一方で、厚生労働省が発表した日本国内のデータを見ても、同様の傾向が見られます。
高齢化大国ニッポンの介護施設状況
世界に見る高齢化ランキングで日本の順位をご存知でしょうか?
何と堂々の『第一位』なのです。
日本は世界に類を見ないほどの高齢化大国として知られており、人口に対し65歳以上の割合は約28%(3,515万人)となっています。
世界第二位のイタリアで24%ですから、ぶっちぎりの一位なんですね。
そのため、近年では日本国内において老人ホームなどの介護施設の数が急増しているのです。
世界で起きつつある『介護崩壊』について、高齢化大国の日本にとっては死活問題なのです。
日本における介護施設は以下のようにいくつかの種類があります。
()内は2019年時点での施設数です。
・有料老人ホーム (約13,500施設)
・グループホーム (約12,000施設)
・特別養護老人ホーム (約8000施設)
介護施設についての細かな説明は省きますが、現時点でこれだけ多くの施設が存在しているのです。
定員数でみると全体で100万人に達していますが、入所率は軒並み高水準となっており、地域によっては定員オーバーとなっているところも少なくありません。
慢性的な人手不足
日本での介護施設の増加は前述の通りですが、利用者の増加に合わせ、施設職員の増員も急務となっています。
厚生労働省の発表する「職業安定業務統計」によれば、介護分野の有効求人倍率は年々上昇しています。
直近のデータでは2017年が「3.5倍」となっていますが、この数字が示すのは「求職者一人あたりに対する求人の倍率」です。
これはつまり、介護分野が他の職種に比べ、圧倒的に人員が足りていない状況を示しています。
労働条件の過酷さに加え、賃金の上昇が伴っていないため、新規の就業者が集まらない状況となっているのです。
また、離職率も他の業種に比べ、高い水準となっています。
医療現場の次に崩壊が懸念される介護現場
これまで伝えてきた通り、日本の介護事情はギリギリの人員で綱渡り的に維持している現状です。
更に、ここには自宅介護を行っている方は含まれていません。
そういった方々も含めると、さらに介護に関わる総人口は倍増します。
このような状況の中、今回の新型コロナのような異常事態が発生した際、介護の手が回らなくなり、たちまち『医療崩壊』に繋がってしまいます。
現在、『医療崩壊』が強く叫ばれていますが、その水面下では刻一刻と『介護崩壊』も近づいているのです。
ただ、そういった状況を打破するには、人員確保や物資確保、介護者に対しての補償など、官民一体となった対策が必要となります。
一刻も早い行政の対策に加え、国民一人一人が新型コロナに対する危機感を持って感染拡大防止に努めていく必要があるのです。
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